学会賞・奨励賞
 (第24回総会~第19回総会 分)
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第24回学術総会学会賞・奨励賞(学会賞該当なし、奨励賞4題)
[学会賞]
該当なし
[奨励賞]
災害超急性期においてDPATは有効に機能したか
高尾 碧 (国立病院機構肥前精神医療センター)
熊本地震の現場におけるDPATの活動が具体的かつ簡潔に報告されており、今後の災害支援活動にも貢献できると思われる。
当院における精神科救急入院料病棟で施行可能な依存症治療ツールによる介入実積
花岡 晋平 (千葉県精神科医療センター)
薬物関連治療患者に対して、精神病状態への対応や解毒に留まらず、急性期からの具体的な心理的介入を行った報告でありその有効性を示した。症例数の少なさや介入期間が短いことが課題である。
当院の「救急情報室」が果たす役割 -短期入院・外来中心の医療を支える為に-
才田 康成 (のぞえ総合心療病院)
救急情報室がトリアージ機能のみにとどまらず、地域での生活を支えている実践が報告されており、病院全体の機能や利用者への治療に対し、どう貢献していくのかが可視化されていた。他機関でも応用しやすく参考となる発表である。
精神科病棟における患者満足度に関連する看護ケアの検討
佐伯 幸治 (国立精神・神経医療研究センター病院)
看護ケアに関して様々な視点から満足度が検討されており、調査、分析、評価が明確に説明されている。具体的な提案があるとよかった。
第23回学術総会 学会賞・奨励賞(学会賞1題、奨励賞3題)
[学会賞]
PEEC(Psychiatric Evaluation in Emergency Care)コースを通じた多職種連携と自殺未遂者ケア 
橋本 聡 (国立病院機構熊本医療センター精神科)
PEECという研修企画を通して、精神科以外の医師、医療スタッフや救急隊員らに対して、精神医学的な教育を行う試みを継続しており、その効果を検証した内容の発表である。当会でも推進する自殺予防対策に寄与しているのみならず、社会への貢献度も大きい活動であると考えられる。今後このような研修企画が更に発展していくことに期待し、学会賞を授与する。
[奨励賞]
長期入院から自宅退院が可能となった統合失調症の一例 ~精神科救急病棟におけるクロザピン治療の経過について
河上 真人(医療法人優なぎ会雁の巣病院)
治療抵抗性の統合失調症症例に対して、11ヶ月にわたりクロザピンを用いるのみならず、さまざまな工夫をチームで実践して、自宅退院に至ったプロセスが報告された。精神科救急病棟での治療技術や人的資源を用いる必要性に言及し、かつ診療報酬上の問題に関する提言もなされており、今後の精神科医療に関する示唆に富んでいると考え、奨励賞を授与する。
自閉症スペクトラム患者への行動的アプローチ
酒井 絵美 (医療法人静心会桶狭間病院藤田こころケアセンター)
精神科救急の対象としては比較的なじみが少ないであろう自閉症スペクトラムの症例に対して、「ストレス状態の視覚化」といった個別性に配慮したアプローチを用いて、衝動行為の自己制御を可能として退院に導いた報告がされている。治療スタッフと本人との認識のズレにも言及されている点にも意義があると思われ、奨励賞を授与する。今後多くの症例にも同様のアプローチが有用であるのかが問われるところである。
警察官通報(精神保健福祉法第23条)の実態と自治体の対応状況に関する調査
塚本 哲司 (埼玉県立精神保健福祉センター)
精神科救急情報センターの実務から、関東地区の自治体における警察官通報の実態を調査した結果が報告された。事前調査を行うためのガイドラインや措置診察を不要と判断する基準を定めている自治体が少数であること、保護を伴わない通報の比率が自治体によって大きく異なることなどが明らかにされた。重要かつ意義深い調査であり奨励賞を授与する。今後そのような結果の意味や背景などへ踏み込むことが期待される。
第22回学術総会 学会賞・奨励賞(学会賞1題し、奨励賞2題)
[学会賞]
多職種チームで取り組む救急入院ケアアウトライン
渡邉 博幸(千葉大学社会精神保健教育研究センター)
救急化を予防するための現実的な方向性を示した優れた発表である。精神病の治療について近未来の方向性を示した。実践に基づく理論構築に成功している。
[奨励賞]
精神科救急から非自発入院した初回エピソード統合失調症スペクトラム障害の急性期治療における反応率と寛解率
小西 晶子 他 (岡山県精神科医療センター) 
アルゴリズムに従った前向き研究。アルゴリズムの遵守率が高い。良好なアウトカム。さらなる解析が可能である。
救急病棟からつなぐ亜急性期パスの効果と今後の課題
松本 陽介 他 (桶狭間病院藤田こころケアセンター)
救急病棟との治療・看護連携が図られていて治療・看護の継続性が認められる。研究の継続性、将来性が期待できる。急性期パスの効果が十分認められた。今後の課題に対しても取り組みが期待できる。
長期入院防止に役立つ可能性も大きい。
第21回学術総会学会賞・奨励賞(学会賞該当なし、奨励賞4題)
[学会賞]
該当なし
[奨励賞]
精神科医でも実践可能な神経性無食欲症身体管理マニュアルの開発
栗田 大輔 他 (浜松医科大学 精神医学講座)
神経性無食欲症は精神的にも身体的にも緊急介入を要する病態であり、従来精神科単科病院では対応が困難であった。本研究では身体管理マニュアルを作成し前向き研究を行った結果、マニュアル導入により入院期間の短縮とリフィーディング症候群の発生の予防につなげたことを評価する。
統合失調症の再燃再発例に対する入院早期からのRLAI導入の有用性の検討 ~再入院予防と薬剤の簡素化の観点から~
奥平 智之 他 (医療法人山口病院(川越)、日本大学医学部内科学系統合和漢医薬学分野)
精神科救急においては再燃再発を繰り返す統合失調症患者が多く見られるが、本研究では長期予後を見据え、入院早期よりRLAIを導入し、再入院率を低下させた。入院の急性期からデポ剤を使用するという発想の転換を図り、その有用性を示した。今後は比較試験を導入した追加研究がのぞまれる。
精神科救急医療における救急隊からの傷病者受入要請に関する調査
浅倉 博幸 他 (沼津中央病院)
精神疾患をもつ傷病者の救急搬送において縦列モデルの活用を目的とした入院前トリアージュを行いその有効性を示した。精神科救急における身体合併症症例への適正な対応について示唆しているが、予備的研究という位置づけであり今後の発展を期待する。
スーパー救急病棟におけるパートナーシップ・ナーシングシステム導入の効果と課題
蒲生 千寿 他 (東京武蔵野病院)
本邦における精神科での新しい看護の試みと結果が報告された。新知見が多く、また今後の看護師の配置基準を改善するためのデータの提供も可能である。さらなる研究がのぞまれる。
第20回学術総会学会賞・奨励賞(学会賞1題、奨励賞1題)
[学会賞]
「統合失調症に対するITを用いた再発予防法の検討」
小松 英樹(千葉大学医学部附属病院)他
「新たな視点と手法による介入研究であり、一定の有効性が見られている。研究手法として新しい領域で、RCT(Randomized Controlled Trial)を用いた多数例の検討は重要である。効果的に症状増悪傾向を検知して再発予防につなげることが可能となり、予後の改善に役立つ。」
[奨励賞]
「精神科救急病棟における心理教育の試みとその効果」
藤田 愛子(兵庫県立光風病院)他
「救急病棟において心理教育を行い、その効果をKIDIやDAI30を用いて調べた。さらに長期予後について、その有効性を客観的に検討した。将来的には心理教育のどの要素が有効であるか、また適切な対象群を設定した比較研究が望ましい。」
第19回学術総会 学会賞・奨励賞(学会賞該当なし、奨励賞3題)
[学会賞]
該当なし
[奨励賞]
「スーパー救急病棟における行動制限最小化のための検討:eCODOデータを踏まえて」
長谷川 花(沼津中央病院)
現在試験段階中にあるeCODOを用いて、行動制限の長期化因子を抽出し、最小化に向けて臨床的検討を行った。精神科救急医療の質的な改善に向けてエビデンスに基づいた検討を迅速かつ容易にした点で高く評価する。
「東日本大震災時における当院の入院対応について」
佐藤 宗一郎(有恒会こだまホスピタル)
東日本大震災後1ヶ月、2ヶ月後の経時的な入院患者の変化を調べ、例年との比較によって大震災に伴う精神疾患の発症、増悪の特徴を明らかにした。大災害直後の被災地の精神科病院の診療実態を明らかにした貴重な報告である。
「急性期クリニカルパス導入の効果~スタッフストレス度、患者満足度調査から~」
野中 英雄(医療法人静心会桶狭間病院藤田こころケアセンター)
精神科急性期看護においてSDMを取り入れたクリニカルパスを新たに導入し、スタッフの職業性ストレスや患者の満足度などを調べ、同パスの有用性を明らかにした。
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