障害者自立支援調査研究プロジェクト 平成20年度 事業実施報告概要
●事業名 精神科救急医療施設の機能評価に関する研究

●事業目的
精神障害者の自立と社会参加促進にあっては、医療・福祉資源の充実による地域ケアの推進が重要である。急性増悪期に危機介入の役割を担う精神科救急医療は、精神障害者が安心して地域で暮らすために必要不可欠の医療資源で、その役割が適切に発揮されるためには、地域の介入体制や医療施設が一定の機能を保って標準化される必要があるが、現実態は地域間格差が大きい。本事業では精神科救急医療に求められる機能を明確化し、それを評価する手法を確立することによって、精神科救急医療の均質化ならびに質的強化をはかることを目的とする。

●事業概要
学会医療政策委員会が中心となり事業を推進した。平成19年度には、地域介入体制および専門医療施設を対象とし、当学会ガイドラインの内容を軸に評価項目を抽出して調査を行なうとともに、介入実績の報告システムを提案した。本年度は継続事業として対象を精神科救急医療の全領域に拡げ、医療機能の3要素における構造と過程についての調査を行い、評価基準を開発するための根拠の確立を目指した。またアウトカム評価を含む質管理の手法として、ケースの医療内容にまで踏み込んだデータベース開発の予備的な取り組みを行なった。

●事業実施結果及び効果
 2年間の調査研究事業により、従来の基準軸である学会ガイドラインに照らした精神科救急医療実態の全体像が判明した。評価手法は地域介入体制を対象とした総論部分と、機能別に分類される医療施設を対象とし、水準ごとに基準を示す各論部分に分けられる。医療施設は約8割を占める輪番・法人立・単科の特性を有す平均的な施設、高次対応機能を有す施設、サポート的な機能を有す施設に分けられ、評価基準は厚生労働省事業要項の分類にそった作成が実質的と思われた。今後まず総合的な標準を示す学会ガイドラインを改訂し、それを根拠とした具体的な評価基準確定による評価手法の確立が必要である。医療の質管理のためのアウトカム評価を含むデータベースは、精神科救急医療の継続的な質的強化に有用で、早期の開発・導入が求められる。

●事業主体
(以下の情報は平成20年当時のものです)
日本精神科救急学会
本事業の事務局住所:〒420-0949静岡県静岡市葵区与一4丁目1-1 県立こころの医療センター医局
電話 054-271-1135
一般社団法人 日本精神科救急学会事務局
〒169-0072 東京都新宿区大久保2丁目4番地12号 新宿ラムダックスビル
株式会社 春恒社 学会事業部 内
TEL:03-5291-6231 FAX:03-5291-2176 E-mail:jaep@shunkosha.com