岩手県からの表彰に際して
(第32回日本精神科救急学会学術総会)
 本年10月24日、岩手県盛岡市で開催されました第32回学術総会において、当学会は岩手県から、被災地支援に関して感謝状をいただきました。この場をお借りして、当学会が岩手県において被災地支援活動を行ってきた経緯を改めてお伝えしたいと思います。

 東日本大震災に際し当学会は、早期よりウエブサイトにより、支援者と被災地の調整を行っていましたが、2011年5月7日の理事会にて、今後の支援について検討した結果、長期的な活動を行うことが必要であるとして、被災地支援プロジェクトを立ち上げました。この理事会の席上では、故計見一雄初代理事長、澤温理事長(当時)、伊豫雅臣副理事長(当時)などの方々からの後押しと助言などがあり、当学会としては、広範囲に及ぶ被災地全体の支援ではなく、災害医療・地域医療システムの構築等の経験蓄積、人材を育成することを目標としたパイロットスタディを行うことが現実的であるとして、激甚被災地でありかつ精神科医療資源のない大槌町をプロジェクトの支援対象といたしました。
 このプロジェクトには資金が必要であり、ニューヨークのJapan Society、米国日本人医師会、ジャムズネット東京などの協力を得て、「心の架け橋いわて」(通称こころがけ)というNPO法人を組織して2012年4月より活動を開始いたしました。2014年には認定NPO法人に昇格し、国内外からの助成金、補助金、寄付金により長期支援活動を続けて現在に至ります。
 こころがけの活動には、精神科救急学会から資金および人的な援助があったのみならず、毎年の学術総会において支援報告会やシンポジウムなどの発表機会を与えらました。特に盛岡で開催された今年の総会では、東日本大震災の被災地で長期支援を行っている、からころステーション(宮城県)、なごみ(福島県)などと共に、活動で得られた貴重な知見を、 DPATのメンバーの方と共有する機会を持つことができたのは意義深いと思います。
 この度の岩手県からいただいた表彰は、このプロジェクトに関わってきた多くの人々や諸組織の活動を含めてその対象としているものと考えており、皆様に改めて感謝を申し上げます。
  これらの活動報告や学会誌などに掲載された支援活動の内容等が、今後の災害医療や地域医療システムなどに生かされることを期待しています。
 
鈴木満(認定NPO法人心の架け橋いわて理事長、元精神科救急学会理事)
長谷川朝穂(認定NPO法人心の架け橋いわて副理事長、精神科救急学会監事)
心の架け橋いわて 文献・資料


鈴木満:日本精神科救急学会被災地支援プロジェクト
  ー4年目を迎えるモザイク形長期被災地支援活動 精神科救急 18:5-9, 2015

田辺有理子:岩手県大槌町における長期コミュニテイ支援 精神科救急 21:7-10, 2018

山中浩嗣:被災地長期メンタルヘルス支援の意義と課題 精神科救急 22:13-16, 2019

長谷川朝穗:被災地支援組織交流の意義と課題 精神科救急 23:13-15, 2020

こころがけメンバーによるリレー連載:
精神看護 18:56-60, 178-181, 314-317, 396-401, 609-613, 2015

 
資料
心の架け橋いわて公式ホームページ

こころがけ活動紹介動画

復興への軌跡(こころがけ10年の活動アーカイブ)

こころがけYoutubeチャンネル

愛のマゴの手プロジェクト(マニュアル・動画など含む) 
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