平成27年度学会賞 決定!!
本年は学会賞1本、奨励賞3本となりました。


○学会賞
● PEEC(Psychiatric Evaluation in Emergency Care)コースを通じた多職種連携と自殺未遂者ケア 
橋本聡  国立病院機構熊本医療センター精神科
PEECという研修企画を通して、精神科以外の医師、医療スタッフや救急隊員らに対して、精神医学的な教育を行う試みを継続しており、その効果を検証した内容の発表である。当会でも推進する自殺予防対策に寄与しているのみならず、社会への貢献度も大きい活動であると考えられる。今後このような研修企画が更に発展していくことに期待し、学会賞を授与する。


○奨励賞
● 長期入院から自宅退院が可能となった統合失調症の一例
   ~精神科救急病棟におけるクロザピン治療の経過について
河上真人 医療法人優なぎ会雁の巣病院
治療抵抗性の統合失調症症例に対して、11ヶ月にわたりクロザピンを用いるのみならず、さまざまな工夫をチームで実践して、自宅退院に至ったプロセスが報告された。精神科救急病棟での治療技術や人的資源を用いる必要性に言及し、かつ診療報酬上の問題に関する提言もなされており、今後の精神科医療に関する示唆に富んでいると考え、奨励賞を授与する。


● 自閉症スペクトラム患者への行動的アプローチ
酒井絵美  医療法人静心会桶狭間病院藤田こころケアセンター
精神科救急の対象としては比較的なじみが少ないであろう自閉症スペクトラムの症例に対して、「ストレス状態の視覚化」といった個別性に配慮したアプローチを用いて、衝動行為の自己制御を可能として退院に導いた報告がされている。治療スタッフと本人との認識のズレにも言及されている点にも意義があると思われ、奨励賞を授与する。今後多くの症例にも同様のアプローチが有用であるのかが問われるところである。


● 警察官通報(精神保健福祉法第23条)の実態と自治体の対応状況に関する調査
塚本哲司  埼玉県立精神保健福祉センター
精神科救急情報センターの実務から、関東地区の自治体における警察官通報の実態を調査した結果が報告された。事前調査を行うためのガイドラインや措置診察を不要と判断する基準を定めている自治体が少数であること、保護を伴わない通報の比率が自治体によって大きく異なることなどが明らかにされた。重要かつ意義深い調査であり奨励賞を授与する。今後そのような結果の意味や背景などへ踏み込むことが期待される。